今から10年前に、私の父が大腸がんと宣告されました。
私にとって、衝撃的な事件でした。
ある日、母親から『父さんが住民検診の結果で、大腸がんの疑いがあるから、大腸カメラを受けないといけないんだけれどもどこで受けたらいいだろう』と電話がきました。
『市立病院で診てもらったら』と伝えました。
電話を切った後、『父親は痔持ちだからそれで検査にひっかっかたんだろう』と安易に考えていました。
それから数週間後に悲しい声で『父さん大腸がんって言われた、手術を受けないとダメなの』と連絡がきました。
まさか、『親父が大腸がんだなんて』と驚きと悲しみで力が抜けました。
病院の大腸カメラの結果は、進行性の大腸がんで潰瘍浸潤型で、部位は直腸でした。
大腸がん切除部位による人工肛門の危惧
医師からは、『がんがある部位が直腸なので、人工肛門になると思います。』と言われました。
父親はひどく落ち込みました。家に人工肛門(ストーマ)ケアの洗い場を設置したらいいだろうかなどの相談を兄弟でしました。
がんを宣告された時も、悲しかったけれども、人工肛門になるでしょうという言葉の重みがなんとも言えないものでした。
これからの人生を考えると、不便な生活を強いられるであろうことへの不安です。
以前聞いた話ですが、息子さん家族と同居をしている患者さんで大腸がんのために人工肛門となってしまった人が、息子のお嫁さんに『お風呂に入るのは一番最後にしてくださいね』って言われたと言っていたことが思い出されました。
とても切ない表情でお話ししていました。
そして、手術の日が12月24日に決まりました。そうクリスマスイブです。
私は、親とは離れて暮らしていたので、手術当日の朝に車で直接市立病院へと行きました。病室には、父親はもちろん母親と兄が待っていました。
父親は少し緊張していたんだと思いますが、顔が少し強張っていました。
『大丈夫!きっと上手くいくよ!』とみんなで励ましました。
『ああ』と心なし元気のない父でした。
それから手術の時間になり、父が手術室へと連れていかれました。『お願いだから上手くがんを切除してださい』と心で願っていました。
いざ開腹してみたら、がんが身体中にひろがって切除不能で腹を閉じて手術が終わりということもあり得た話でしたから。
母と兄と三人で、手術室の前で手術が終わるのを待っていました。3時間くらいだったと思います。
手術室から先生が出て来て『無事に切除できました。人工肛門にならずにうまく繋ぐことができました。』涙涙涙!!!!
『先生ありがとうございました。』その瞬間すごく、すごく嬉しかったです。家族みんなで抱き合いました。
みなさん、大腸がんは内視鏡検査をしていれば、簡単に予防できます。早期のものや、将来がんになる疑いのある腺腫様のポリープは、内視鏡の処置具で切除可能です。
大腸がん検診で、陽性判定された方や、実際に便に血液が混ざっているのが確認された方は1日でも早く病院に受診して大腸カメラを受けてください。また、家族の方で大腸がんになったことがある方はぜひカメラを受けましょう。
大腸がんは、末期になるまで症状がありません。自分の身体の健康への想いが大切です!
そして、手術が無事に終わり、自宅へ車で帰る途中にケーキ屋さんに寄りました。
予約をしていた小麦粉と卵を使用しないで作っていただいたクリスマスケーキを買うためでした。
当時息子が小麦粉と卵にアレルギー症状がでていたためです。味はイマイチでした。
自宅に着くと、すごく身体が重く体調がすぐれなかったので体温を測ると38.5度でした。
あまり高熱を出さない自分なので38.5度とわかると一気にダウンしました。
気が張っているということは、すごいことですよね。その後、ケーキも食べずにすぐに寝ました。
・繊維食の不足
・肥満
・遺伝的素因
大腸がん手術に伴った排尿障害
その後、手術が無事に終わり安心した矢先の出来事でした。
父は手術の影響で排尿障害になってしまったのです。
肛門の近くの手術では合併症で排尿障害になることがあります。
それからは、父はどこへ外出する時でも小さなバックを携帯していました。
そのカバンの中にはいつも排尿させるための管が入っていました。自分で管を尿道に入れ排尿させるためでした。
そのような日々が8ヶ月余り続きました。とても大変なことでした。
今では、元気に過ごしています。
みなさんも気をつけてください。早期発見、早期治療で大腸がんは助かる病気なんです。